ゲームプレイ感想(6):アンチャーテッド - 古代神の秘宝-
さて、前回の更新から間もなく今回の更新です。
今回は先日リリースされた、こちら
アンチャーテッド -古代神の秘宝-
をクリアしましたのでその感想を書いていきたいと思います。
はじめに
感想に移る前に、本作のことについて少し説明を・・・
本作はもともとアンチャーテッド4 海賊王の最後の秘宝の予約特典の無料の追加エピソードとして用意されていたものです。
しかし、開発を進めるうちに気づいたらフルサイズのゲームボリュームになってしまい、単体作品として販売(4の予約特典としての無料入手は可能)することになったというなんとも常識はずれないわくつきの作品です。
では、その噂の真相はどうだったのかというと・・・
クリア時間7時間30分、過去シリーズは10時間弱での攻略だったので、噂通りほぼフルサイズボリュームの作品でした(滝汗)
管理人、心底呆れました。こんなの予約特典とはいえ無料でもらっていいわけがないです。お金払わせてください。
そしてボリュームだけではなくその内容はというと・・・
いやもう、ノーティ(開発スタジオ)最高かよ・・・
本当に最高の一言でした。それではこれから深い部分を掘り下げていきたいと思います。
良い点
マップの完成度が素晴らしい
本作で最も語るべき部分はここでしょう。
これまでのアンチャーテッドでは基本的に寄り道なしの1本道でしたが、今作では序盤のとある章で広大なマップでバギーを乗り降りしての自由探索ができるようになっています。
従来の1本道のみでは、”誘導されている感”を少なからず感じていた人もいたかもしれませんが、今回導入した自由探索のマップでは”自らの意思で冒険している感”を存分に味わうことができます!
広大なマップになってもその細部に一切の手抜きはなく、美しく、自然なものに仕上がっています。
過去作をプレイしているほど度肝を抜かれること間違いなしです。
ただし、広大なマップはあくまでアクセント的な要素にとどめていていて、メインは従来通りの1本道になっています。しかし、私はこの点も非常に評価しています。
1本道のメリットはテンポがよくなり、だれにくくなることです。これはアンチャーテッドには非常に重要な要素です。流行に乗って進化することも大事ですが、従来が持っている良さも決して見失わず的確に使い分ける判断能力は実に素晴らしいものがあります。
1本道パートも3までのような完全な1本道ではなく4のようにいくつかルートが用意されているので完全に誘導されているわけでもありませんし、その部分も4よりさらにパワーアップしているので1本道マップでも自由度は高くなっています。
マップの完成度の高さは本当に素晴らしかったです。
宝探しのアシストアイテム
アンチャーテッドのやりこみ要素で、マップに隠されている宝を見つけ出すものがありますが、今回はその宝を近くに来た時に音で知らせてくれるアイテムが用意されています。
ただし、ただというわけではなく先述した自由探索マップで各所に散らばっているとあるアイテムを入手しないと手に入れられなくなっています。
しかし、そのアイテムの場所はとある場所に行くと大体の場所がわかり、一度見た後はマップで確認しながら捜索することができます。これにより、メインミッションだけでは退屈なマップに新たな探検要素が増えてさらに旨味が増しました。
アイテムの場所に行っても入手するには謎を解いたりしないといけないのでやりがいもすごくありました!
また、アシストアイテムを手に入れた後は使用するかしないかを選択することができます。小さいことですが、素晴らしい気配りです。
いちいち芸が細かい
ありとあらゆることに対しての気配りというか、芸というか・・・
もう本当にいちいち細かいです。
これまた先述した広大なマップでのことですが、バギーで移動しているときクロエとナディーンが雑談をしているときがあります。この最中にバギーから降りた場合会話は中断されるのですが、探索を終えて戻ってきた後になんと会話を途中から再開するようになっています!
「えっと、それでなんの話をしてたんだっけ?」「そうそう、それであの時私が言ってやったのよ・・・」
こんな感じです。
アンチャーテッドに限らずゲームでは会話が途切れたらそこから再開されることは普通はありえず、我々ユーザーはその場面に出くわしてしまうたびに残念に思うしかなかったのですがそんなことは今作ではありません!地味ですが恐ろしく丁寧な作りです。
また、自由探索ということは回る順番も自由になってきます。今回は数か所を自由に回ることになりますが、1箇所回るたびに次の目的地を確認するプリレンダムービーが用意されていますが、そのムービーがパターンの数だけ用意されていて状況に応じて的確なムービーが流れるようになっています。
Aを探索したらB,Cを確認するムービーが、Bを先に探索したらA,Cを確認するムービーが流れるという具合です。
また、これは作品全体で言えることですが、ゲーム側からユーザーへアドバイスするときはポップアップなどで行うのが一般的ですが今作では相棒のNPCキャラがしれっと自然に会話に混ぜて教えてくれます。
例えば、飛び移る場所が分からなくて元いた場所に戻ってきたとき・・・
「ああ、もう。同じ場所に戻ってきちゃった。」「ほら、あそこの滝の脇のでっぱり行けるんじゃない?」
戦闘中の時には・・・
「(体力がピンチの時)あんたはもういいから、早くどこかに隠れな!」
etc...
あまりにも自然すぎて管理人、最初の方はゲーム側からのアドバイスで流れるやつなんてことに気づきもしませんでした(笑)
このようにユーザーが少しでもアンチャーテッドという作品にゲーム的要素を感じさせないようにありとあらゆるところで工夫が施されています。恐ろしく緻密でまさに職人芸といえるこだわりには脱帽するしかありません。
圧倒的ビジュアルとロケーション、そして謎解き
アンチャーテッドといえば、その圧倒的なビジュアルと冒険心をくすぐるロケーションですが、今作もそれは健在、というか私は今作のロケーションが一番好きでした。
また、謎解きパートも今回はいつも以上に趣向を凝らしたものが多く、また、その謎解きが解かれた後のビジュアルも幻想的で美しく、そして壮大なものが多く、毎回毎回そういう場面やロケーションに出くわすたびにいちいち「おおおおお!」と感嘆の声を上げていました(笑)
それでは、中盤までの場面からプレイ中の場面をフォトモードを使って撮った写真をいくつか紹介します。
ふつくしい・・・
にしても本当に冒険心をくすぐられる息をのむほどの素晴らしいロケーションばかりです・・・
もう一度言います、ムービーではなく実際にプレイしているときのスクショです。
これ以外にも見どころはたくさんありますので安心してください!(笑)
なお、今回も前作同様にフォトモードが実装されていますので、細かい調整を施してお気に入りの一枚を撮影することも可能です!
奇をてらわない王道を行く安心ストーリー
ストーリーは今作も王道そのもので非常に安心して楽しく堪能することができました。
”目的の宝があり、それを目指す主人公と敵対勢力。敵対勢力は宝を良からぬことに使用することを考えていて、主人公は宝を手に入れつつ最後は敵の野望も阻止して大団円”
トレジャーハント系の映画の王道といえばこのパターンですが、今作のストーリーもそれに例外なく当てはめています。
王道というのは、ただ作りやすいというだけでなくそれが多くの人の心を魅了するから王道です。
そこの部分をきちんと理解し、今作もブレのないがっちりとした芯のあるストーリーになっているのでベッタベタの王道にも関わらずやはり面白かったです。
王道を軸に地に足つけて歩いてるので、小難しい設定は何もなく、動機も非常に理解しやすく単純明快。細かい怪しい点はあっても大きな矛盾は引き起こさない。
主人公がクロエで相棒がナディーンという異色コンビに変化していますが、王道ストーリーを軸に上手くなじませているおかげで非常に良い出来になっています。
また、語るべきストーリーがなければ物語は作らないという信念をノーティは持っているので、その点でもクロエとナディーンのそれぞれの背景や人物像がしっかり作り上げられているので感情移入もかなりしやすい仕上がりになっているのも注目ポイントです。
新アクション「キーピック」が面白い!
前作で新たにクギとロープアクションが追加されましたが、今回さらにキーピックというアクションが追加されています。
操作は左スティックを回して、手ごたえがある部分でスティックを止めてキープしてカギを開けるというもので、これを使用して開ける宝箱のようなものも設置されています。
これが地味なんですが、面白いし「よくこんなの考えたな」と感心しました。
敵が近くにいる中でのキーピック作業はドキドキもので映画のワンシーンのような感覚でした。
前作のロープアクションだけでも十分すごいなと思ったのにさらに出てくるとは・・・
ノーティの底は計り知れませんね。
気になった点
キーピックが途中解除できない
先述したキーピックですが、一度始めてしまうと途中でやめることができないのは少し気になる点ではありました。
できればキャンセル機能をつけてくれればなおよかったかなと思います。
おわりに
さて、今作の総括ですが、文句のつけようがない、むしろただでさえ素晴らしいアンチャーテッドシリーズの中でもシリーズ最高傑作といえる内容でした。
主人公がネイトやサリーではなくクロエという不安を女性だからこそ描ける部分を表現した誰でも理解できる素晴らしい王道ストーリーとノーティの圧倒的な開発力とセンスでものの見事に吹き飛ばしてくれました。
キーピックの気になる点を書きましたが、あんなの減点対象にも入らないような点です(笑)
とても追加エピソードなんていうレベルの代物ではないです。まごうことなく1本の作品として完璧に仕上がっていました。
位置付け的には4の追加エピソードですがアンチャーテッドシリーズの集大成といっても過言ではないです。
追加エピソードてことがいまだに信じられないですし、この作品のことを追加エピソードなんて言いたくありません(笑)
シリーズをプレイしている方はもちろんですが、シリーズ未経験の方にもぜひおすすめしたいですし、自信をもってお勧めできます!
ただ、キーピック以外に残念なこと、それもキーピックのことよりはるかに重大なことが一点あります。それは・・・
アンチャーテッドシリーズはもう描かれないということです・・・
アンチャーテッドシリーズは前作の4、海賊王と最後の秘宝で正式に完結となりました(ノーティが明言)。物語のジャンルの性質上描こうと思えば描けるでしょうが、よほどのことがない限りナンバリングの続編はないでしょう・・・
できることなら、この出来でネイトが主人公のアンチャーテッドをプレイしたかった・・・
それだけが心残りです・・・
逆を言えば今作は4の追加エピソードという位置づけで4からたった1年半しか経っていない状態でリリースされたのにも関わらずあの素晴らしい作品だった4からそれだけ大きく進化していたということです。
少しここで脱線しますが、ノーティの開発力には本当に驚かされることばかりです。
ノーティの自慢はその開発力だけでなく、面白いものに対する嗅覚とセンスにその真髄があると思います。冒険心をくすぐるロケーションの数々、会話を途中から再開できるようにする仕様etc. ユーザーがどんなものに対して心を動かされるのか、快適にプレイするには何が重要なのかというのを本当によく理解しています。
そして、気づいたらどんなに小さいことでもそこをん突き詰めていく、妥協しないところは他のメーカーではなかなか真似できないところだと思います。(ほかのメーカーなら気づいても時間対効果を考えてスルーすることが多いと思われる)
また、マップやストーリーの部分で述べさせていただきましたが、ノーティは変えるべきところは変えつつ(広大なマップ、キーピックetc.)も守るべき部分はしっかり守る(王道のストーリー、1本道の継続etc.)その見極めのセンスも素晴らしいです。
凄まじい勢いで進化と変化を繰り返す、この世界で変化に柔軟に対応する、変わっていくということは非常に大事なことですが、かといって古い方法は全て変えるべきなのかというとそうではありません。古いものには古いものの良さがあり、逆にその手法だったからこそ通用しているものもあります。(たとえそれが些細なものだったとしても)
”変わること”、それそのものを”善”とせず、その本質を見極めた上で、変化させるところは変化させて、継続するものは継続させていく、その冷静さとセンスは際立つものがあり、またこの能力自体が誰でも持っているわけではありません。
現に先日投稿させていただいたNewみんなのGOLFは今回はまさにその点で苦しんでいるといえます。NewみんなのGOLFだけでなく日本のメーカーは特にこの部分の見極めが弱い部分かなと個人的に考えていて、今回のみんゴルみたいに変化することを”善”として無闇に変更した結果良くなるどころか逆に悪くなったというケースは国産ゲームではよく耳にする話です。(日本の場合はどちらかというと本人の問題というよりも、周りの変化や評価に敏感な民族性とユーザーの質の悪さが原因だと思いますが・・・)
もちろんノーティがこれだけ質の高い作品をここまでの短期間で作ることができるのはアンチャーテッドシリーズが、「10時間弱のボリュームで満足できるゲーム」だからとも言えます。
普通のゲームではいくらアクションゲームとはいえ10時間は短すぎて不満が出てもなんら不思議がないレベルですが、アンチャーテッドは流れを簡素化してテンポをよくし、その分映画的演出やムービーを巧みに利用することにより時間毎の体感カロリーを上げて短い時間でも満足するようにしています。アンチャーテッドに限ってはむしろ10時間を超えると満足するどころか、カロリー負荷でだれたり、疲れたりして満足度が下がってしまうといえるでしょう。
10時間弱のゲームなら、ほかのゲームと比べると全体の工数は確実に少なるわけですから、デティールにこだわれる時間が増えますし、そのくせ時間も取られずに済みます。
わずか10時間ですがその10時間ずっとプレイヤーを120%満足させ続けられる作品
こういった手法の作品にたどり着いた時にアンチャーテッドシリーズ、そしてノーティの成功は確定していたのだと思います。(もちろん彼らの卓越した技術とセンスがあっての"確定"ですが)
さて、ようやくここで話を戻しますが、私は今作をプレイできたことを、ファンとしてこのシリーズの集大成を見届けられたことを本当に光栄に思いました。
このシリーズはこれからどれだけゲームが進化しようともスーパーマリオのように永久に語り継がれる作品となるでしょう。
最後にもう一度言いますが、ぜひプレイしてみることをお勧めします。
こんな名作をプレイしないなんて本当にもったいないです。
ゲーム好きの人はもちろんですが、ゲームに興味のない人もぜひプレイしていただきたいです!
きっと、あなたに特別な体験を届けてくれるはずです。
さぁ、今こそロマンあふれる冒険へ、いってらっしゃい・・・
注:海賊王と最後の秘宝をデラックスエディションで購入した方はパッケージ内にあるプロダクトコードを入力するとDLできます。(2017年12月31日まで)
タイトル:アンチャーテッド -古代神の秘宝-
フォーマット:PS4(Pro対応)
プレイ人数:1人
ジャンル:アクションアドベンチャー
CERO:C
発売日:2017年9月14日
ということで、本当に素晴らしい作品だったので思わず語ってしまいました(笑)
さてさて、今週はいよいよ東京ゲームショウです!しっかり下準備して楽しんできたいと思います!
それでは、また次回お会いしましょう!